地域で取り組んだイベント、自社のサービスや商品を、新聞への掲載を通して無料で広くアピールしたいーそうお考えの方もいらっしゃると思います。
この記事では新聞での掲載につなげる方法のほか、ただ載せるだけにとどまらず、なるべく大きな紙面スペースを割いて取り上げてもらえる取材依頼の方法をお伝えしようと思います。
新聞で記者やカメラマンなど、10年目勤めた私から注意点なども含めてお示ししていけたらと思います。なお、テレビなどの放送媒体に対しても共通と考えていただければ大丈夫です。
2022年版のダイジェスト版解説もあるので、時間がない方はこちらもぜひご覧ください。
注意すべきこと【広告ではない。あくまでも取材】
まずは、商品やサービスをPRしたい方で、よく誤解されている点があるので、注意点からお話したいと思います。
メディアの取材などを通してプロモーションを行うことを「パブリシティ」と言います。無料でPRできる有効な方法ですが、原則として「コントロール不能」です。
つまり、掲載してほしい内容に注文をつけたり、扱いの大小を指定したりすることはできません。そこは取材する記者や、扱いの大きさを検討する出稿デスク、紙面レイアウトを担当する整理記者の裁量にゆだねるしかありません。もし全てを希望通りに掲載、放送したいのであれば、有料の「広告出稿」という方法になります。
この制約の中で発信したいこと、大きく取り上げてもらう方法を考えようというのが本記事の趣旨です。ここは非常に重要なので、念頭に置いといてもらえるとありがたいです。
取材依頼に書くべき内容 依頼メールの文例あり
取材依頼の基本や簡単な方法について、以下のリンクの記事をご参考ください。
取材依頼のメールなどに書くべき主な内容は以下の項目です。メールの文体などについては、あまり気にしすぎることもなく、失礼にならない程度のもので問題ありません。
- イベント、商品、サービス名(例「地元の野菜で弁当を作ろう!親子料理体験」「本場イタリアの革を使ったミニ財布発売のお知らせ」など)
- 開催日時(商品等の発表会であればその日時。開始時間と終了見込み時間もなるべく明記する)
- イベント開催の目的や狙い、商品・サービスのセールスポイント(「地元の野菜で弁当を作ろう!親子料理体験」での例→親子でコミュニケーションを深めながら、地元の野菜のことを料理を通じて学ぶ機会を作ろうと企画しました)
- 式次第
- イベントなら定員数と参加費、商品発表会等ならその商品価格
- 問い合わせ担当者の氏名、連絡先(携帯番号とメールアドレスが望ましい)
以下、メールでの取材依頼の文例です。
【取材依頼】〇〇を使ったイベント開催のお知らせ
〇〇新聞社 担当者御中
平素より大変お世話になっております。
料理づくりを通じて国際理解を深めようと
このたび、表題の通りイベントを開催いたします。
ぜひ取材のご検討をお願いいたします。
イベント「ウクライナ料理を作って文化や歴史を知ろう」
主催・運営「洋食屋 ヨーロッパ食堂」
日時:20○○年○月○日 正午-13:00
参加者:〇〇自治会・児童会の皆さん、親子10組(20-30人程度を予定)
取材問い合わせ担当:山田 TEL:080-○○☓☓-△△△△ e-mail ●●●●●@☓☓☓☓☓☓.com
大きく取り上げてもらうためにできること
大きく取りあえげてもらうにはどうしたらいいでしょうか。「イベントをやります」「新製品を開発しました」「新しいサービス発表します」だけでは、なかなか大きい扱いをしてもらえません。いくつか方法がありますので、実際の紙面をみながら紹介していきたいと思います。
産学協同で商品提供
地元高校生にランチメニューを考案してもらった上で、実際に提供役として、職場体験もしてもらうという教育面での効果も狙った取り組みです。教育に対する企業や事業者の貢献は、取材や掲載へのハードルを低くします。
実際にコンビニなどでは、弁当や惣菜パンで高校生や大学生とコラボした商品開発を行なっています。
地元の名産を活用、地域色を出す
地域の独自性が出た商品は、地元に貢献という大きなニュースバリューになるほか、新聞などの写真メディアや放送などの動画メディアにとって「絵になる」「見栄えする」といったところに対して大きな効果が働きます。
特に新聞では効果的で、紙面の「ハラ」という位置に、見栄えのする大きな写真を配置するんですが、
ここには「季節もの」という、時季に合わせた植物の写真やイベント、天候の写真が大きく載ります。(例:桜の開花、紅葉、クリスマスのイルミネーション、ケーキ作り、梅雨入り、海開きなど)
なぜここに大きな写真を配置するのかというと、文字だらけになって読者が読みづらい紙面になることを防ぐためです。
地元の名産を使いながら、時季を捉えることができれば、こういった記事掲載も狙えます↓
企業以外でも写真部などがある学校の取り組みで、季節の変わり目やスケジュールのイベントをうまく撮って、新聞社などに写真・動画を送れば大きく掲載、紹介につなげることも可能です。生徒たちへの課題や目標設定に活用されても面白いかもしれません。
福祉活動に貢献する
障害者の方や高齢の方など、外出する機会が限られる人も少なくありません。そういった方に商品やサービスに触れてもらう機会を設けることは、PRになるだけでなく、事業の信頼性を高める効果を生みます。
地域や市民の困りごとに貢献する
害獣駆除や廃棄物処理といった、地域特有の課題や問題解決に取り組みながら商品開発に取り組むといったことも、新聞・テレビにとって積極的に大きく取り上げたい項目になり得ます。
もし取材してもらえなくても
いかがだったでしょうか。少し手間もありますが、企業や事業者の皆さんにとってもコミュニティーにとっても、ウィンーウィンになればと思います。
しかし、取材してもらえないことも少なくありません。それでもやれることはあります。
イベント当日や商品の写真を撮り、参加者の感想を文字にしてメディアに送る
取材依頼を受けた側が、取材したいにも関わらず、人手が足りなくてどうしても取材に行けなかったということもあります。特にイベント開催時に効果がありますが、上記した【取材依頼の書き方・内容】と、イベント後の広報担当者からのメールで掲載につなげる方法もあります。そのために、下記の情報を取材する側へメールで送付できれば、記事掲載することも可能です。
全国各地方紙の取材依頼・問い合わせ先をまとめました。ぜひご活用ください。
必ず写真は撮りましょう。新聞はグラビアなどと違い、印面が粗いので「必ず一眼レフ」である必要はありません。iPhoneなどでの手軽なスマホカメラの画質でも十分です。人で賑わっている様子や参加者の表情を収めましょう。
そしてできれば、参加した人の総人数と、1人でもいいので参加者に会やイベントの感想を聞き、文字に起こしてメールで送ってください。好ましいのは【氏名、年齢、現住市町村】を聞ければいい(ディテールの描写を増やせれば、信憑性が増す)ですが、最低限◯十代の男性か女性か、を聞ければいいと思います。*自社や自分たちの団体から聞く、いわゆるサクラは絶対にやらないでください。
加えて、主催者側のこの会やイベントで得た手応えと、今後の豊富、展望も盛り込むと完璧ではないでしょうか。
また、なぜ新聞での掲載を狙うべきなのかという記事もまとめました。新聞の取材からテレビやラジオ、ネットメディアへと波及させていくことも十分可能だと思います。ぜひご一読ください。
加えて、記者への取材対応の際、すべきでないこと、さけた方がいいことをまとめました。ちょっとした疑問などもあると思いますので、目を通してもらえるとうれしいです。
普段の情報収集だけでなく、どういった記事が紙面上に取り上げられるかを知るためにも新聞購読は有力な手段です。Netflixやアマプラなどのサブスクと比べてやや割高ですが、どういった一次情報が価値を持つのかも新聞紙面でつかめます。この機会にぜひ、新聞購読も検討してみてください。
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