商品やイベント、団体や地域の取り組みなど、自分たちが携わって力を入れていることを世間に広くPRしたい、ネットでもバズらせたいー。
そう考える方にまず「新聞掲載を目指す」ことを一番にすすめています。新聞紙面がどのような構成になっているかや、どういった方向性であれば新聞掲載につながりやすいかなど、元新聞社員としての経験をもとに過去の投稿にまとめています。
ただ、情報の拡散力の面で新聞はテレビやラジオなどの電波メディアや、Yahoo!などに代表されるニュースポータルサイト、Buzzfeed・ねとらぼなどのwebニュースメディア、ツイッターなどといったSNSなどのネット上のメディアには敵わないのでは?と考える方は多いと思います。
実際にそれは間違いないですし、字の多さによる読みにくさとっつきにくさに加え、速報性にも劣るところから新聞は多くの人が定期購読をやめているのが現実です。ですがそれでも、まず新聞に取材・掲載することが、世間に広くPRしていく上でもっとも効率が良いとの私の考えは変わりません。
その理由は新聞の確かな取材力と、紙・電波・ネットの各メディア同士のつながりにあります。記者やカメラマン、ポータルサイト編集の経験をもつ立場から詳しく解説していきたいと思います。
新聞が取材したものの信頼性
まずここで言う新聞とは、朝刊や夕刊などを出している読売や朝日などの「全国紙」、共同通信や時事通信などの通信社、中日や西日本などの「ブロック紙」、神奈川や徳島など県単位が発行エリアになっている「県紙」のことだと思ってください。
新聞は取材活動に多大な予算をかけています。記者の育成や指導に時間とお金をかけ、なるべく多くの人数で丁寧な取材にあたれるよう、多くの予算を割いています。ただ、段々と売上も厳しくなっている中で、人員削減で記者の人数も減ってきてはいますが、それでもテレビやラジオ、ネットメディアといったところとはまだ大きな差があります。
そういった取材活動を経て新聞掲載に至った記事は、大きな信用を得ることになります。「新聞に載っているから間違いない」と多くの読者に思ってもらえるよう、新聞では記者のみならず紙面編集を担う整理担当も「これは掲載に値するほどのニュースバリュー、面白みはあるのか」と妥当性を検討し、これらのいわば審査を通過したネタが、記事となって掲載されます。
総務省の行った各種メディアの信頼状況のアンケートでも、総じて新聞の信頼度が高くなっています。
そしてもう一つの強みが取材の機動性の高さです。新聞はテレビに比べて記者の数が多く、また取材は基本的に1人でできます。テレビの場合だと、カメラと音声も兼ねて1人で行うこともあるようですが、基本的には記者、カメラマン、音声スタッフの3人1組です。新聞の方が身軽に気軽に、取材現場へと足がむきやすいのです。
新聞が掲載した記事は、追い掛け取材しやすい
そういう風に人員と時間を十分にかけ、丁寧な事実関係の裏どりを新聞が日々行っていることを、テレビやラジオ、ネットメディアもよく知っています。
テレビやラジオは新聞ほどの厚く広い取材網は持っていないため、特に地域の細かいイベントのネタや、小さい会社や個人が作ったり携わったりした商品や企画などは、目に留まりづらい状況です。
そこで取材の参考にするのが、新聞です。地域のページや社会面などで、面白い取り組みや商品などがないか紙面を広げ、テレビで視聴者の目や耳を引き、世間の関心を引きやすそうなネタを探します。冒頭にも貼りましたが、どういったネタが取り上げてもらえるかは過去の投稿で紹介しています。
新聞記事になれば、ネットにも優先的に取り上げられる
Yahoo!ニュースに代表される「ポータルサイト」は、提供されたニュースをユーザーに配信する責任を重要視しています。
近年では過去にこういった不祥事がありました。
ここでは記事提供元の産経新聞が誤報記事を配信、Yahoo!はその「事実関係に間違いのある記事を提供したことをお詫びする」と謝罪しました。
Yahoo!のトップページなどでニュースが掲出されれば、ニュース記事を辿って自社サイトへの流入も期待できるので、新聞や雑誌、ネットニュースなど多くのメディアがYahoo!などの「ポータルサイト」と契約して記事を提供しています。
その中には記事の裏どりが甘かったり、一部スポーツ紙や雑誌の配信記事ではニュースの情報源が怪しかったりと、配信に値するものなのか迷うものも少なくありません。
そんな中でも新聞社の記事は、「◯◯新聞が取材したものだから、真実性は大丈夫だ」と一定の品質が担保されている安心感があるものです。先ほどは産経新聞という有名媒体の誤報でしたが、そういった誤報が起きても訂正や謝罪の対応が早い面もあることから、まだまだ信頼度は高いと言えます。
ポータルサイト側も信頼性を加味し、優先してニュースを目立つところに掲出しやすく、そうすることでTwitterなどでのシェアや拡散につながるチャンスも大きくなります。
メディアの特徴を捉えてPRにつなげよう
新聞での取材、掲載を目指す理由について解説してきました。若い人ですすんで購読する人はほとんど少なく、一般の方の中ではすっかり陰が薄くなってしまった新聞。ですがメディアのつながりの中ではまだまだその存在感は強大です。
webの面では新たなメディアインフラサービスを掲げ、幅広い記事配信を行うNordotという企業があり、全国の多くの新聞社のほか、学生新聞や個人も参画しています。Nordotからの配信を受けるポータルサイトも増えてきています。
多くの記事提供元が増えていく中、「信頼できる記事」を発信できる新聞の重要性がより高まっていくと思います。新聞を始め各メディアの特性をうまくつかまえ、より良いPRにつなげてもらえたら嬉しいです。
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