【元新聞記者が解説】マスコミ業種別おすすめの就職、転職先

  就活生の皆さんや、転職活動を頑張っている皆さんの中には、マスコミを希望されている方も多いかもしれません。ただ、求人の種類や業種もさまざまで、「どこでもいいから、とにかくアナウンサーになりたい!」という方以外は迷われることがあると思います。そこで、新聞社で記者やカメラマンとして約10年勤めた私から見た、目的別おすすめの志望先を書いていきたいと思うます。

新聞記者のデスク
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新卒:ジャーナリストとして力を付けたい!→NHK、朝日、毎日、中日・東京、ブロック紙、高知新聞、沖縄タイムス、琉球新報

 NHKはテレビで唯一と言っていい、新聞各紙にもひけをとらない取材態勢を有しています。予算も潤沢で、日々の報道やNHKスペシャルなどの番組を見ても「お金あるなー!うらやましい!」と思います。中央の話題から、地方の各放送局に根ざした話題ものまで、なんでも取材できる、そしてそれを時には全国ネットに載せてお届けできる。取材記者冥利に尽きるんじゃないでしょうか。目指して損は無いと思います。

 朝日新聞は業界でも一目置かれる取材力です。「朝日、さすがの取材ぶりです」と思わせる企画や連載は非常に多い。いまの時代、権力監視やファクトチェックの報道は骨が折れますが、そういう取材にトライしたい方は目指してもらいたいです。

 調査報道に力を入れる毎日新聞。数年前に有名になった、スポーツ面の見出しをSMAPで統一する、といった頭の柔らかい取り組みができる人が多いといった印象です。チャレンジングなひとは是非検討されてみてください。

 中日・東京新聞はブロック紙でありながら、全国紙にも引けを取らない、かなりの部数を誇ります。報道姿勢も権力監視の意欲が強いだけでなく、「こちら特報部」といったユニークな調査報道に意欲的です。

 ブロック紙は北海道新聞河北新報中国新聞西日本新聞中日新聞などがあてはまります。ブロック紙はいくつかの県にまたがって新聞発行していることもあり、県紙と競い合っているので、取材活動も激しくなります。いわゆる「抜いた抜かれた」を経験することは地力をつけるのに1番なので、取材のノウハウに触れ、地力を付けるには一番です。

 高知新聞は不正を突く報道などで知られており、気骨のある記者が多いことで有名です。優秀な先輩が多くいる環境は簡単には得難いものです。

 沖縄は基地問題に起因する外交・安保、政治などのトピックがあり、地方にいながら中央にも大きな影響が広がる事件や取材に関わることができます。それでありながら、ガチンコで競合し合う地元2紙が基地問題、戦争問題以外のトピックでも日々「抜いた抜かれた」を繰り広げているので、ほかの県紙では積むことができない経験をすることができます。

海上保安官が海で不明者捜索

20〜30代 マスコミに転職したい→NHK、共同通信、地方紙

 NHK共同通信は通年採用しており、特に記者経験は問わないようです。いずれも国内のみならず海外にも幅広い取材網を持っており、記者としていいキャリアをスタートすることができると思います。マスコミは比較的人材不足にあえいでいるほか、地方出身の職員、社員が地元のマスコミにUターンしていくという傾向も出てきていて、NHKと共同通信は人手不足なのかな、という印象です。マスコミ希望の方はぜひチャレンジされてください。

 地方紙は比較的求人が多いです。新卒採用だけでなく、通年採用の社も多く、その背景には新聞業界に対する就活生の将来不安もあると考えられます。新聞部数の減少などよく耳にし、「勤め先としてどうなのか」と不安を抱かれる方は多いと思いますが、地方紙では特に地元密着の事業戦略や多角化経営などで、リスクの分散に積極的に取り組む新聞社も多いので、4、5年先にどうにかなるような会社はないんではないか、と思います。

サッカーの試合

スポーツ記事を書きたい→共同通信

 共同通信は自ら独自の媒体はもたず、加盟メディアに記事や動画、写真を配信しています。取材範囲も全てを網羅しており、取材力も付きます。スポーツ記者に関しては共同通信は「運動記者」採用を行なっており、専業でやりたいかたは一択です。ほかの社ではほぼほぼ編集内に限らず総合職採用が多くなっており、スポーツ専業でやるのは難しい状況です。ちなみに、スポーツ紙はおすすめしません。芸能担当があるからです。

野球を撮影するカメラマン

ムービーカメラマンになりたい→NHK、スチールカメラマンになりたい→共同通信、朝日新聞

 テレビのカメラマンは、正社員(正職員)になることが重要だと思います。制作会社などにいらっしゃる方と待遇の違いが大きすぎで、民放局はキー局、地方局問わずカメラマンの大部分が制作会社や子会社の方で占められている印象です。ぜひ頑張ってNHKを狙ってみてください。

 新聞のカメラマンは写真記者ともいいますが、共同通信は写真記者採用を行なっているのでスチールカメラマンになりたい方にはおすすめです。空撮などの希少な撮影機会もあるほか、ドローン撮影にも意欲的です。地方紙などは予算の関係で空撮などは比較的少なくなります。

 朝日新聞は、非常にカメラマンの方のレベルが高く、わたしも新人カメラマンのころは朝日新聞のカメラマンさんの写真を切り抜きし、勉強しました。きっと力がつくだろうな、と勝手に考えています。

番外編–グラフィックデザイナーの方へ

 いま、新聞ではなるべく読者の方が読みやすい紙面を作れるように、グラフィックを活用する流れになっています。記事だらけでなかなか目が行かない紙面にならないように、写真がない記事でも

新聞のグラフィック

こういった表をつけたり

新聞のグラフィック

上記の写真のようなグラフをつけたりします。

またスポーツ面では

新聞のグラフィック

ロゴと呼ばれるものを使い、読者の目を引こうと試行錯誤しています。こういったグラフィックを作れる人材を多くの新聞社が必要としています。ぜひ、新聞社での仕事にも注目してもらえるとうれしいです。

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この記事を書いた人

地方紙で11年勤務(取材記者6年、写真記者2年、整理記者3年)
Webに移り、ポータルサイトで記事企画やサイト更新のお仕事をしています。
40代で猫と暮らしています。

ライティングの依頼などもあればぜひフォームよりご依頼ください。

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