朝日新聞や毎日新聞といった全国紙などの大手もここ数年は希望退職を募るなど、経営の厳しさが伝わるニュースが増えてきています。
私も現在のWeb系企業に転職する前は、地方の新聞社で記者など主に紙面編集業務に関わる仕事をしていました。
コロナ禍以降、私の転職経験について新聞社時代の同僚たちから質問を受けることも少しずつ増えていて、新聞やマスコミなど紙媒体からWebへの転職について、関心も高まっているのを感じています。
自分自身の経験を元にしながらコロナ禍以降も「新聞社からWebに転職するのは可能か?」について私の見解を述べていきたいと思います。
結論から言うと、
新聞社からWebに転職するのは、2022年現在でも可能だと思っています。
詳しい説明や、留意しておいてほしい点を書きます。
新聞から転職への転職 なぜ可能か
私自身はアラフォーで、現在Webに勤めていて、ニュース配信に関わる業務をしています。
そんな中で感じるのは、
ということです。これに加えて、ニュース価値の大小を判断する知識や経験、写真を撮れる腕を持つ人はより少ないです。また新聞では当たり前の日常業務である、取材の申し込みや実際のインタビューするところまで、一貫しておまかせできる人材はかなり少ないんです。
どういったプラットフォームやオウンドメディアなのかというのにもよりますが、YouTubeなど動画メディアの盛り上がりや、5Gが推進されている中ではありますが、まだまだ活字は必要とされていることを感じます。
40歳以上でも、転職のチャンスは普通にある
もうひとつ気になる点として、「転職35歳限界説」もよく聞きます。転職を決断した3年前のわたし自身も非常に気になるポイントでした。私自身は転職活動で今の会社の内定をもらったのは36歳でした。
転職後に実感するのは、40歳以降でも転職は問題なさそうということです。
私の近くの部署でも、40歳以上の中途採用で入ってこられた方がコロナ禍以降2人いて、いずれも男性です。私は年齢以外に非常に重要視されrポイントがいくつかあると思っています。
Webが採用したい人材は
それでは、どういった人を今Web業界、その中でもコンテンツ編集やニュース編集部門で求められているかを私なりに簡単に説明します。大きく3つ。
- 書ける人(取材依頼から出稿まで一貫して任せられる)
- 新しい環境への適応力がある人(転職や異動などの経験で証明できる)
- チームで協力して働けそうな、端的に言うと人柄が良さそうな人
この中で「書ける人」については、これを読んでいる方は問題なくクリアしていると思うので、特に説明しませんが、日本新聞協会などで取材や記事の受賞歴などは、そこまで重視されないと感じます。
これまで記者やライターの経験があり、普通に書ける人であれば全く問題ないと思います。
逆に、受賞歴があるからといって転職後の好待遇などは期待できないと思います。もしそこを最大限評価してほしければ、文藝春秋など雑誌社を検討した方がいいかもしれません。
Web転職 もっとも重要視されるポイント
先に挙げた3点について、もっとも重要視されると私が思うのは
です。要は、「この人をうちに入れても、既存のメンバーとの軋轢などもなく、うまくやってくれそうだ」と思わせる人柄をうまく伝えることが何より大事かなと思います。
それに付随して新聞からWebという、まったく違う環境に移ってもイチから謙虚に取り組める、という点をアピールする材料のひとつとして、
も重要だと思います。
なぜ「人柄」が大事かというと、現在Web業界はテレワークがかなり推進されているところが多く、私の会社でもコロナ後も基本は完全テレワークで行うことが決まっています。大手のYahoo! Japanなども、2022年4月から国内なら居住地自由とするなど、「新しい働き方」を進めています。2022年1月の時点で社員のリモートワーク率は90%にも上るということです。
実はこのテレワークは一見すると働き手にとっていい制度ですが、チームで仕事をするとなると、かなりストレスが溜まりメンタルヘルスの悪化に伴う人間関係の悪影響など、負の面も相当大きいのです。
コロナ禍で各社とも、より良くリモートワークができるよう環境整備を進めていますが、結局のところ社員一人一人の人柄が良ければ、こういった問題は小さくなり、オンライン環境でもチームワークよく仕事がしやすくなります。
新聞出身者の転職ハードル
私が転職してからの経験として、今振り返って思うのは、新聞社やマスコミ、特に記者関係の仕事や職場環境はかなり特殊で、チームとして取材班を組んで仕事をするようなことはありますが、基本的には個人事業主のようなところがあります。
WebでもWeb以外でも、元新聞記者の人が職場を新たな場所に移すと、勝手の違いが大きくかなりフラストレーションがたまるし、それに伴って人間関係で難しい面が生まれることも珍しくありません。
それは採用側もある程度認知しているので、おそらく
と考える人も少なくないと思います。
ですので、転職採用の際は、自身の実績をアピールするのはもちろんのこと、イチから頑張るという謙虚さを示すこと、記者としてやってきた自負をアピールしすぎないことは地味ですが、かなり大事だと思います。
私の場合は、Webに転職したいと思い始めてから、一切やってこなかったBlogをWordPressで始めたり、プログラミングスクールに通って、一回り以上年の離れた大学生たちと肩を並べて勉強したりしました。
そういった、姿勢が伝わる何かをできないか考えたり、始めてみたりするのもアピールポイントの一つにはなると思うので、検討してみるといいと思います。
まずはWeb業界に潜り込め
新聞社は購読部数の減少、それに伴う広告の売上減もあって年々経営環境の悪化を言われていますが、そんな中でも新聞社の正社員は比較的好待遇だと思います。
もしあなたがWeb業界に入りたいなら、「正社員」という条件は外した方がいいと、私は思います。
私は、いまの会社に入る前は、Yahoo!のニュース編集業務の経験者採用に何度も応募したこともありますが、契約社員の募集でも書類の時点で全部落とされました。
多様な取材経験と、カメラマンから整理記者まで幅広いスキルには自信を持っていたので、何度も門前払いになったのは相当なショックで、一度はWebへの転職を諦めました。今振り返ってみると、自分の新聞社時代の大したこともない実績を振りかざしすぎていたかなと思うし、一緒にスムーズに働ける、柔らかい人柄だと思ってもらえなかったんだと考えています。
ですが今の勤め先へは、正社員で転職しています。なぜそれが可能だったのかというと、正直言ってたまたまでしかありません。Yahoo!のようにメジャーなポータルサイトではありませんが、ニュースには力を入れていたので、特に新聞記者の経験を持つ人材を探していたようです。
どこの求人で見つけたかというと、Wantedly というWebやIT業界向けの転職サイトで、主にエンジニア向けの求人が多いところです。たまたまプログラミングスクールでの経験があったので、Wantedlyをたまたま知っていて、たまたま覗いたら、たまたま今の会社の求人があって、たまたま新聞記者の経験を持つ人材に募集をかけていた、という流れです。
全く違う業界に、ちゃんと順応して働いてくれるか分からない人を正社員で採用するリスクもあるのが正直なところだと思います。まずはWebの業界に、契約社員や派遣社員でもなんでもいいので潜り込むのも近道です。
私は今もリクナビネクストなどにも登録は残してありますが、新聞からWebに移った途端、WebやIT業界のスカウトがものすごく増えました。
新聞記者も楽しかったけど、違うWebの世界を覗いてみたいという方。何がなんでも、まず業界を移ってみてください。新しい視界がきっと開けます。
逆に、新聞社へ入社したい人向けの記事も過去に書いています。そのほか、新聞を商品やサービスのアピールに生かす方法などもまとめています。
Webからみて思うのは、新聞はそれ自体も人材もかなりポテンシャルが高いということです!ぜひ参考にしていただけたらと思います。
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